邑南町

瑞穂ハイランド
冬も夏も家族の思い出

広島市内から1時間ほど高速道路を走り、浜田道瑞穂インターチェンジ(IC)を降りると、島根県邑南町にあるスキー場「瑞穂ハイランド」まであと5分。週末にもなるとスキーヤーでにぎわう。標高1218メートルの阿佐山山頂から一気に標高差700メートル以上を滑り降りられる多彩なコースが魅力だ。

瑞穂ハイランドは1986年にオープンし、標高の高さから雪の質もよく、ピーク時には1シーズンに25万人が訪れた。しかし、スキー離れや暖冬による雪不足で営業日数が短くなり、2020年に運営会社が破産。20~21年シーズンは初めて完全にリフトが止まった。

そこに現れた「救世主」が、広島市安佐南区に本社を置くアオイテクノサービスだった。親会社のアオイ化学工業は、コンクリート同士の緩衝材となる目地で国内トップの製造業。テクノサービスは現場の施工管理を行う会社で、リゾート事業は未経験だった。「社長がハイランドをよく訪れ、なくすのは惜しいと名乗りを上げた」と同社総務部長の宮﨑博行さん(62)は話す。

北海道ニセコ町を視察し、家族で楽しめるノウハウを学び、子どもがそり遊びを楽しめる「キッズパーク」をリニューアルした。滑り終わった後、再び上るための「ムービングベルト」を設置。1月下旬に柳井市から3人の子どもを連れて訪れた会社員堀田太一さん(32)は「子どもが生まれる前は夫婦でボードを楽しんでいた。小さいときから雪に親しんで、将来は一緒に滑りたい」と話す。

今季も年末と1月にまとまった積雪があり、例年3月中旬まで滑走可能。また、夏にはグランピングやバギー、サウナを楽しめる設備も整えた。宮﨑さんは「素晴らしい自然の中で、冬だけでなく夏も家族の思い出がつくれるような施設になりたい」と力を込めた。

 

写真1:キッズパークでそり遊びを楽しむ親子
写真2:雪質がよく、長い距離を滑れるコースで、スキーやスノーボードを楽しむ来場者

≪メモ≫大人の1日リフト券は平日4700円、土日祝日5700円。施設内にスキーやスノーボードのレンタル、食事も可能。夏は山頂付近まで林間の道を走るバギー、グランピングや本格的な北欧風のサウナなども楽しめる。

※この記事は令和6年2月10日の中国新聞に掲載されたものです
もりた・いっぺい
1968年、島根県邑南町生まれ。地方紙記者を経て、JR三江線の廃止を機に帰郷。町役場で働きながら、NPO法人江の川鉄道の設立に加わり、廃線跡にトロッコを走らせる。年間誌を発行する「みんなでつくる中国山地百年会議」事務局長。江の川流域広域観光連携推進協議会のメンバーとして広報を担当する。邑南町在住。

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